今日あたりから冬型の気圧配置が緩んでくるとはいえ市内のスーパーでは駐車場の雪が山積みに。スズキ釣りの終盤にして1週間近くのロスは参った。

海岸線はこんな感じ。


写真だと分かりにくいが相当な波だ。雪がない砂浜の部分は波が来ている範囲で30mほどか。こうみるといかに波足が長いのか、そして速いのかがよく分かる。
だが、自分にとって波の大小は釣りにストップをかける条件としては優先順位は低かった。
冬型の気圧配置で困るのはなんといっても雷だ。これだけは何をどうしようが防ぎようがない。
この時期の寒気の南下はほぼ終日雷の発生を伴う。だから気圧配置が冬型になって雷注意報が発令された場合、他の条件がどんなによくても基本的には出ない。
その他の条件としては向かい風、横風が強い場合。雨、雪は少なければ出る。一旦出てしまえば途中で雨脚が多少強くなっても釣りは続行する。
波は最も優先順位が低い。勿論、波が余りにも高い場合はポイントにルアーが届かないので無理な場合があるが、濡れるのが嫌だからウェーディングはしない。危険だから、というのとはちょっと意味が違う。
ルアーがポイントに届くのであれば波は好条件になる。では一体どの程度の波までスズキはルアーにバイトするのだろう? これを確かめたくて昔は海が荒れるほどにがむしゃらに出ていたことがある。終いには台風で波浪警報が出ている夜にまで出て行って70cmのスズキを手にしたことがある。
スズキは波浪警報が出るほどの波、しかも夜間であってもベイトを探し回り、バイトできる能力がある。それが分かったことはその後の自分の釣りに大きくプラスにはなった。だが、釣り仲間に言われたのは「死ぬぞ」という突き放された言葉だった。
今思えば当然だ。たかだか趣味にそこまでして出ることに何の意味があるのか。当時は若かったのもあるが仲間に言われた一言で深く反省させられた。
海の波はさまざまな周波数の波の合成波で構成されている。だから何度かに一回は大きい波が来るし、大きく水位が下がった後の波は反動で大きくなる傾向がある。またパワーの小さい波(弱い波)は比較的遠めで崩れやすく轟音を立てるが恐れる必要はない。逆に静かに盛り上がって迫ってくる波はパワーが強い。
こういった基本的な知識と相まって、子供の頃から浜で遊び、バカバカしいほど荒れた浜に出ていた経験もあり、当時では波の動きと足の動きが条件反射的に連動するほどになっていた。夜間、リトリーブに集中しているときであっても大き目の波になると思えば勝手に足が動いて必要な分だけ後ずさりできたほどだ。
ここまで見てピンと来る人は多いだろう。「こいつ、必ずひどい目に遭う。」と。
そのとおりになった。
波浪警報の浜で70のスズキを上げてから数年後だったと思う。当時では既に余りバカバカしいことはやらなくなっていた。夕マズメ前でまだ明るく、少し荒れ気味ではあった沖合いの波まで確認できる状態で、まあ普通に釣りができる状態だった。
「多少ウネリがあるなぁー」と思ったが、明るいのもあるし何の緊張感もなかった。いつものように目視と足が勝手に連動することさえ意識しなかった。
サーフではウェーダーは足から這い上がる波よけに使うだけでウェーディングはしない。立ちこんでもせいぜい足首程度だ。
暫くしてザザーという音と共に白波が砕けた波がやってきた。経験的にこういう波のパワーは小さい。少し後ずさりした程度でやり過ごそうとした。足首ほどの水位はふくらはぎほどまで上がったが気にもしなかった。だがその直後あっという間に水位が上がってきた。ハッとして後ろに下がろうとしたが、膝下まで水位がきた状態ではもう足の自由は奪われていた。
腰上まで一気に水が押し寄せてきた。外洋の波の水位は干潟などの水位とは同列に語れない。後ろに押した倒されそうになったあとは引き波でさらわれそうになった。幸い偶然にも足が多少前後に開いていたので耐え切れたが、この出来事はショックだった。
離岸流のあるところでウェーダーをはいたまま流されれば立つことも泳ぐことも難しい。ライフジャケットを装着していてもただ浮いていられるだけで自分の意思で離岸流から外れることは先ず無理だ。水温の低い冬季、仮に夜間沖合いに流されたら岸にたどり着けるかどうかは分からない。たどり着けなければ低水温で最長でも5時間ほどしかもたないのだ。
この原因は分かっていた。最初のザザーと来る波の直後にウネリを伴った強い波が隠れていたということだ。だが、最初の波に気を取られて見逃した。勝手に体が動くといってものぼせ上がって油断していれば反応に差が出てくる。
後にも先にも肝を冷やしたのはそのときだけだったが、その後の気の持ちように大きな変化を与えるのに充分な出来事だった。
いつも思う。ライフジャケットは大切だ。だが、釣りをする上で最小限の装備でしかない。ライフジャケットをしている人がしてない人を批判することがあるが、ライフジャケットを装着しても身の安全が保障されるわけではない。結局危険なことをしていることに何の変わりもない。アドバイスはした方がいいに決まってるが、批判などできる立場にあるはずがない。
多少なりとも危険な場所で釣りをする人間にとって装備は大切だ、だが本当に大切なのは自然を甘く見ないという月並みな心構えでしかないんだな、と思う。